1年ほど前の、ある休日。
その日の夕食後、リビングで家族5人、他愛もない話をしていた。
…いや、ボードゲームで盛り上がっていたかもしれない。
テレビ番組にツッコミを入れていたのかもしれない。
覚えていない…
が、とにかく5人で楽しいひとときを過ごしていた。
トン…トトン…
物音が聞こえた気がした。
上の家の音かしら。
トン…トン…
また聞こえる。
上じゃない、我が家だ。
私以外、喋っていて誰も気づいていない。
『ちょっと待って、パパ。何か聞こえへん?』
姉『なになに?』
夫『やめてや、そういうのw』
私『トントン聞こえてん、何回か』
トン…
『ほら!!!』
末っ子『ママ怖い!!』
夫『シッ!デカい声出すな!』
息子たちの部屋から聞こえた。
廊下の奥、玄関側にある部屋だ。
夫『誰や。玄関はオートロックで閉まってるはずやから、今入ったんとちゃうな』
夫が、キッチンにいき麺棒を手に取る。
私も、シンクに置いてあったフライパンを持った。
兄も、何か持ってた…何だっけ。
ツッコミたくなるような物を、持ってた。
トントン…
夫が、廊下に続くリビングのドアを開ける。
私はベランダの窓をそっと開け、子どもたちを窓辺に寄せた。
フライパンを持つ手が、手汗ですべる。
トン…トトン…
廊下に出た夫が、リビングのドアを閉める。
忍び足で息子たちの部屋に近づいた夫が
勢いよく、部屋のドアを開けた!
バンッ!!
ドンガタン
勢いよく開けたドアが、
お掃除ロボットにぶつかった。
『おい~、掃除ロボやん!!!』
的なことを夫が言い、子どもたちがワッと廊下に走った。
息子たちの部屋を掃除しに行ったお掃除ロボットが、
何らかの理由で部屋に閉じ込められてしまい、
リビングの充電器に戻ろうと、回転しながら一定の間隔でドアにぶつかっていた音だった。
『なんだぁーよかったぁぁー!!』
安堵した後、大爆笑だった。
『てかさ、モニター見ればよかったんじゃない?』
『ほんまやで、全く思い浮かばんかったわ』
狭いマンションだけど、各部屋にモニターカメラがある。
リビングは私の不注意が、過ぎるから。
他の部屋は、文明の利器大好きな夫が設置。
普段、リビング以外の部屋を見ることはないけれど…
まさに、今日だよね、使うの。
本当に焦った時って、頭まわらないもんだね、5人もいてw