結婚し、母が二人になった。
私が育った家庭とは正反対に思える夫の家。
過ごす時間が長くなればなるほど、
義母の揺るがない信念とポジティブさに惹かれた。
夫は自分勝手だ、筋が通らん、と文句ばかり言っていたけど。
発する言葉ひとつひとつが、私の母と違った。
母『これ、どんなもんか買ってみたけど美味しくなかったらゴメンね』
義母『絶対美味しいで、買おか!…めっちゃ不味いわ(笑)!』
母『野菜食べさせてる?栄養が偏らないように…』
義母『大丈夫。野菜嫌やったら食べんでえぇ。何食べても元気でおるならそれでえぇ』
母『熱が出た?どうしよう、救急車呼ぶ?今から行こうか、お母さん、神様にお祈りするわ』
義母『けいれんはしてへんのやな。大丈夫。どんな感じや状況言ってみ。』
母『唐揚げ、揚げすぎたかも。いつも同じおかずで悪いね』
義母『こんくらい揚げても美味しいねん、おばあちゃん特製や、食べ!』
母『それはちょっと肌出過ぎじゃない?そっちはちょっと色が派手ね』
義母『流行りやねんな!えーやん!似合ってるで!』
これまで友達のお母さんと会うことなんてたくさんあったけど、どっぷり浸かって初めて、違う家庭を知った。
実母も優しい。
『大丈夫かしら、心配よね』
寄り添ってくれる優しさ。
かたや、
『大丈夫や、心配せんでいい』
何が大丈夫なのかわからないけど、離れていても絶対に守ってくれる安心感を与えてくれる、優しさ。
やはり、自分に無いものに惹かれる。
義母のように強くなりたくて
義母のように絶対の自信で子育てをしたくて
帰省するたびに、それを心に決め
褒め、楽しみ、笑い、
義母と近所のママさんの真似をした。
母には話した。
野菜は私がちゃんと食べさせてる。
栄養も考えてる。躾もちゃんとしてる。
だから、マイナスな言い方はやめてほしい。
言葉を、全部プラスの言い方に変えてほしい。
私がおばーちゃん大好きだったように、ただただ、可愛がって欲しい。
ただただ、褒めてほしい。
冗談抜きで30回は言ってる。
10年以上経つが、未だに言う。
『野菜はね、体にいいからね。食べてる?お母さんにおいしいもの作ってもらってる?』
末っ子はブロッコリーが食べられない。
嫌いだからだけど、食感からか口に入れるともう涙目で吐く。
無理なら仕方ない、彼には出さない。
私が席を外した隙を見計らい、
『ちょっとだけなら食べられるんちゃう?小さくしてかじってごらん』
こそこそ末っ子に与える。
そんな光景を何度も見てきている。
『このトマト、熊本産やけど甘みがいまいちでね…味付けどう?おばーちゃんたち薄味やから口に合わんかな…』
もう、言うのをやめた。
変わらない。
自分の実家には長居しなくなった。
私はきっとこういう言葉を浴びて育ったんだ。
無意識のマイナス発言。
記憶にないだけ。
聞きたくない、私が。
記憶にあれば、早くに変われたか?
わからない。
もう体にしみついているのよ。
反面教師で、褒めて生活したいのに
たまに出てくるマイナス発言。
私にそっくりだ。
いや、私が母にそっくりなのか