帰省の新幹線の中。
喫煙室近くの車両だったので、ドアが開くたびにちょっと臭う。
…酔いそう
子供の頃の夏休みで今も記憶に残っているのは、祖父母の家に帰ることだ。
長期の休み=帰省だったので、それ以外に何もイベントが無かったからかもしれないけど。
フェリーで4時間、その後どのくらい車に乗っていたのかは覚えてないけど、いつも父の大好きなリチャード・クレイダーマンが流れていた。
今でもリチャード・クレイダーマンを聴くと当時の気持ちを思い出す。
大好きなおばあちゃんに会える喜びでちょっと鼓動が速くなる、ドキドキを通り越し緊張で息が浅くなって、車の窓を少し開けて深く深呼吸する感じ。
その感情を思い出した後に切なくもなる。
帰省が終わり家に戻る車中ももちろんリチャード・クレイダーマン。
楽しみでカウントダウンしていた帰省までの日数も、帰省した瞬間から『あと何日』とカウントダウンしてしまう。
家に帰る前日なんかは、二階の部屋でこっそりと泣いていた。
おばあちゃんが見えなくなるまで手を振って、涙目のまましばらく無言で車に揺られる。
リチャード・クレイダーマンのちょっと切ないピアノ曲が、寂しさを増長させる。
他の思い出もあるにはある。
でも夏の思い出で真っ先に思い出すのは、その帰省の車の中だ。
末っ子はわかりやすい。
『はぁー おばあちゃんち行くまであと3日もある、待ちきれないよ!』
『ヤバい、楽しみすぎて眠れない〜』
と言いつつ、寝る。
帰りは
『もっといたかったなー』と悲しげに言う。
姉も楽しみな感情は出す。
こっちは本当に眠れない(笑)
そして戻る前日は泣く。
泣くというよりは私と同じように、前日ひっそりと涙する。
似てるなぁー
数年前までは車で帰省し、道中わいのわいの喋っていたが、今は新幹線に5人横一列。
我が家も長期休みはほぼ帰省だが、子供たちの記憶にはどう残るのかな。